見ているときには見えない街

見ているときには見えない街

雨の降る、混沌としたロンドンの夜が、思いがけず親密なひとときへと変わる――隠れ家のような地下バー、ロニー・スコットのサウンドエンジニア、そしてオールド・ファッションドを味わう穏やかなひととき。

ラフィ・マーサー

ある夜は、意図して始まるわけではない。ただ、自然とそうなるのだ。昨日のロンドンはまさにそうだった。私は兄弟たちと夜を過ごすために街へ出かけた――ただ一晩、特に予定もなく――すると、ロンドンならではのやり方で、街の雰囲気が一変し、思いがけない扉が現れた。

私たちはウェストエンドのどこかにある地下室にふらりと立ち寄った。今となっては、いくら探しても二度と見つからないだろう。足を踏み入れた瞬間から、どこか記憶の片隅に残っているような感覚を覚える、あの手の部屋だった。薄暗い照明、温かな空気、そして会話に最適に調整された空間がもたらすほのかな重み。 そしてそこで、偶然にも、ロニー・スコットのサウンドエンジニアに紹介された。彼は、英国音楽界で最も重要な会場の一つを静かに見守る守護者だった。彼には、真のサウンドエンジニアが皆持っているような穏やかな威厳があり、感情の物理的メカニズムを理解しているかのような雰囲気を感じさせた。数言の会話と握手だけで、その夜は突然、新たな様相を帯びた。

するとロンドンは再び私たちを横へと誘った――今度は、今もなお「オールド・ファッションド」の芸術を重んじるバーへと。ゆったりとした手さばき。重みのあるグラス。その柔らかな光に包まれると、誰もがまるで絵画の枠から飛び出してきたかのように見える。外では聖書に描かれるような激しい雨が降り注ぎ、通りは光と湯気、そして傘が猛スピードで交錯するコラージュのようだった。 店の中に入ると、世界はより穏やかで、よりゆったりとしたものへと変わっていた。その対比――上は混沌、下は静寂――こそが、ロンドンが秘める贈り物の一つだ。それは、この街が「熱気」と「安らぎ」という二つのエネルギーが同時に存在できるほど十分に広いことを、私たちに思い出させてくれる。

その後、雨に濡れた道を兄弟たちと並んで歩きながら、私は改めてロンドンのあり方を実感した。計画性を求める都市もあるが、ロンドンは偶然を好む。人はある瞬間に、ある部屋に、そして予期せぬ人との出会いに自然と引き込まれる――そうして、その夜は忘れがたいものとなる。たった一つの会話が、その体験全体を左右することもある。特に、そこに「音」が関わっているときはなおさらだ。 私をしっかりと引き留めてくれるのは、いつも「音」だ。地下室の音響、声の重み、そして温かみのある空間で聞こえるグラスの柔らかな音。

ある夜は、街の姿を見せてくれる。
ある夜は、ここに来た理由を教えてくれる。


ラフィ・マーサーは、音楽が重要な役割を果たす場所について執筆しています。
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